先日タクシーに乗ったとき、70歳ぐらいの運転手の方との会話で、初任給が1万円だったとおっしゃっていました!
今なら、初任給は20万〜24万ぐらいなので、単純に比較すると昔より初任給が20倍になっている計算です。これは、言い換えると物価が20倍になっていると言うことです。
それぐらい、昔と今は違っており、それは今と未来にも言えることだと思います。
この機会に今までの変化と今後の変化について考えてみましょう。
目次
1. こんなに違う!昔と今の円の「価値」
出典: 統計局ホームページ/消費者物価指数(CPI) 時系列データ
これは、総務省が公表している消費者物価指数の変化を1970年〜2016年分描いたグラフです。
消費者物価指数とは
全国の世帯が購入する家計に係る財及びサービスの価格等を総合した物価の変動を時系列的に測定するものです。 すなわち家計の消費構造を一定のものに固定し、これに要する費用が物価の変動によって、どう変化するかを指数値で示したもの
つまり、物価の変化を表している指標です。
上のグラフはコアCPIと呼ばれる、気候などによって価格が大きく変わる生鮮食品を除いた指数を使っています。一般的に、コアCPIの方が物価の変化がわかりやすいからです。
グラフを見てららうとわかるとおり、物価は1970年から上昇し続けており、1975年には50円で買えていたものが、2015年では100円必要ということです。単純に2倍以上に物価が上昇していますね。つまり、円の価値が2分の1以下になっているということです。
もし仮に、1975年から100円をずっと持っていた場合、1975年なら2個買えたものが、2015年には1個しか買えなくなるのです。
このように、知らずしらずに自分の持っているお金の価値は減少する可能性があります。この状態をインフレと言います。
インフレとは
インフレとは、モノの値段が全体的に上がり、お金の価値が下がることです。
つまり、上のグラフのように物価が上昇している状態のことです。今の日本においても日銀がインフレ目標を2%としており、今後もインフレが続くことが予想されます。
お金は銀行に預けておけば安心と思っていても、昔から今までのように、気づいたら価値が半分以下になっていることもあるかもしれないですよね。
じゃあどう対策したらいいのか過去の例から考えて見ましょう。
2. インフレ対策には何をしたらいいのか
円のまま持っていたら価値は減少してしまうので、外貨(ドル)、株、金の3パターンで考えてみましょう。ちなみに1975年に100円を持っていると、2015年には価値は半分の50円となります。
2.1 もし、外貨(ドル)で保有していた場合
1975年に持っている100円をドルに両替し、ドルの状態で2015年まで保有し、円に両替する場合を考えます。当時は1$= 約290円なので
100円=0.34ドル
2015年のドル円レートは1$=約121円なので
0.34ドル=41円
つまり、100円が41円となり、円のまま保有していた場合の50円より減少した結果になりました。
しかし、この結果から外貨を持たない方がいいと判断するのは早いです。なぜなら、1975年から2015年の間に、為替に大きな変化があったからです。下のグラフを見てください。
1985年から1988年でかなりの円高になっています。3年間で100円以上変化しています。これは、「プラザ合意」の影響です。
プラザ合意とは、
1985年9月 22日にニューヨークのプラザホテルで開催された先進5ヵ国蔵相・中央銀行総裁会議 G5で討議されたドル高是正のための一連の合意事項をいう。・・・・・
この合意に基づき各国はドル売りの協調介入に乗出し,円・ドルレートでみれば1ドル=240円台となっていたが,85年末には1ドル=200円まで一気に修正された。
少しわかりにくいですが、ドル高を是正するために、各国が協力して”強制的”に、ドル安=円高にしたということです。通常は、”自然な”取引の結果、為替相場は決まるのでこれはかなり異常です。上のグラフでも1990年以降はあまり変化していないことからもわかると思います。
仮にプラザ合意による影響が無い期間で検証してみると、
1990年の100円は、2015年には約90円の価値になるので、
当時は1$= 約144円なので
100円=1.44ドル
2015年のドル円レートは1$=約121円なので
1.44ドル=174円
つまり、100円が174円となり、円のまま保有していた場合の90円より増加した結果になりました。
なので、ドル円相場が1990年からの変動幅で推移している場合は、外貨(ドル)で保有することはインフレ対策になりえると言えます。
2.2 もし、株(日経平均基準)で保有していた場合
1975年に持っている100円で日経平均に連動する株式を購入し、2015年まで保有した場合を考えます。
上のグラフは各年の日経平均株価終値の平均です。仮にグラフの値段で日経平均に連動する株を100株買えるとすると、
1975年では1株43.5円なので
100円=約2.3株買えます。
これを2015年まで保有し売却すると、2015年では1株190円なので
2.3株=437円
つまり、100円が437円となり、円のまま保有していた場合の50円よりかなり増加した結果になりました。
次に、1990年から2015年まで株式で保有した場合を考えると、
1990年では1株238円なので
100円=約0.4株買えます。
これを2015年まで保有し売却すると、2015年では1株190円なので
0.4株=76円
つまり、100円が76円となり、円のまま保有していた場合の50円よりましだが、資産価値は減少した結果になりました。
株の場合は保有期間によって大きな差が出ました。基本的に値動きが大きいので、株を購入するタイミングが大事になりそうですね。
2.3 もし、金で保有していた場合
金で資産を保有していた場合を考えてみましょう。
上のグラフは、金1グラムの値段の推移を表しています。
1975年では1グラム1616円なので
100円= 約0.06グラム
2015年では1グラム4564円なので
0.06グラム=273円
つまり、100円が273円となり、円のまま保有していた場合の50円より増加した結果になりました。
次に、1990年からの場合
1990年では1グラム1826円なので
100円=約0.05グラム
2015年では1グラム4564円なので
0.05グラム=228円
つまり、100円が228円となり、円のまま保有していた場合の50円より増加した結果になりました。
金の場合は、どちらも増加しました。思っているより値動きがあるので、株と同じで買うタイミングが大事になりそうですね。
3. まとめ
昔から今までの円の価値の変化、インフレ対策として外貨(ドル)、株、金についてシミュレーションしてみました。日銀がインフレ目標を2%に設定していると言うことは、自分の銀行に預けているお金の価値がインフレにより減っていくということです。
ドルにしても、株にしても、金にしても相場次第ですがインフレ以上に増やすことも可能です。資産運用・形成として「お金を増やす」ことも大事ですが、インフレ対策として「お金を守る」ことも大切です。
どうせなにもしなくても減っていくのなら、何かしてみませんか。
[…] […]